セントジョーンズワートはヨーロッパでは昔から不眠症やうつ病、ヒステリーなどの民間療法に用いられきました。現在でも気分の落ち込み、不安、イライラなどを軽くするハーブとして広く使われています。ドイツでは医薬品として、うつ病の治療に用いられています。PMS(月経前症候群)の特に精神症状の改善効果が期待されています。
セントジョーンズワートとは
セントジョーンズワート(和名:セイヨウオトギリソウ・ヒペリクム)は、ドイツではうつ病や睡眠障害の治療するための医薬品として認可されています。
また精神疾患に用いられているハーブのサプリメントの中でも、セントジョーンズワートは、様々な精神医学の研究者によって研究され、エビデンス(科学的根拠)の数も大変豊富です。
セントジョーンズワートは、抗うつ剤のSSRIよりも副作用が少なく、効果も高い?
セントジョーンズワートは、近年PMS(月経前症候群)の治療に用いられている抗うつ剤のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuputake inhibitor)のように、セロトニンの再取り込みを阻害すると考えられています。
セントジョーンズワートの有効成分には、「ハイパフォリン」と「ヒペリシン」があります。ハイパフォリンには、抗うつ作用の他に、神経伝達物質のセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、GABA、グルタミン酸などの再取り込を阻害すると考えられています。
セントジョーンズワートのサプリメントのうつ病への効果についてのエビデンス(科学的根拠)には、2008年のドイツのメタアナラシスの結果があり、SSRIに比べて副作用も少なく抗うつ作用も高いことが報告されています。
近年、PMS(月経前症候群)の治療にSSRIが効果があることが分かり、女性ホルモンの変動が、セロトニンの活性に影響があると考えられるようになってきました。セントジョーンズワートのPMS(月経前症候群)の精神症状への効果が期待されています。
PMS(月経前症候群)とセントジョーンズワート
セントジョーンズワートの抗うつ作用に関してのエビデンス(科学的根拠)は豊富ですが、セントジョーンズワートがPMS(月経前症候群)については、現在までのところ大規模な臨床試験が行われていません。
しかし、イギリスで行われたパイロットスタディ(試験的な調査)においては、セントジョーンズワートは、PMS(月経前症候群)に効果がある可能性があることを表しています。
19名の女性が1日あたり300mgのセントジョーンズワートのサプリメントを、月経周期の2周期間摂取したところ、3分の2以上の女性が症状が少なくとも50%は軽減されたとしています。
セントジョーンズワートと医薬品を一緒に摂取する際には注意が必要
セントジョーンズワートは、医薬品と同時に摂取すると医薬品の効果を弱めたり、医薬品の副作用が発生しやすくなるので注意が必要です。
PMS(月経前症候群)で、ピルを服用している場合、セントジョーンズワートはピルの効果を減少させる可能性があります。SSRIと併用した場合には、SSRIの作用が副作用が発生しやすくなる可能性があります。
セントジョーンズワート自体は非常に安全性が高く副作用の少ない薬効に優れたハーブですが、医薬品と併用する場合には、医師や薬剤師に相談をしましょう。