月経前症候群(PMS)の症状を年齢別、出産経験別にみると、年齢よりも出産経験の有無が症状の出方に影響を与えるといえます。出産を経験した女性は、イライラなどの精神的症状や社会的症状が出やすく、出産を経験していない女性は、胸の張りや痛み、頭痛や下腹部痛などの身体症状が出やすいという結果が出ました。
年齢により異なる月経前症候群(PMS)の症状
月経前症候群(PMS)の症状は、年代により出やすい症状があります。症状の強さを年代別にまとめた表を見てみましょう。
症状の強さのレベルは、レベル1~レベル3の3段階で表され、それぞれの年代の平均が表に表されています。それぞれのレベルで表される症状の強さは次の通りです。
- レベル1:少しあるが日常生活に影響ないレベル
- レベル2:日常生活に影響する程度にある
- レベル3:激しい
20代後半から30代前半は、身体症状がでやすい。
表を見ると、20代後半から30代前半にかけては、胸の張り、肩こり、頭痛などの身体症状が、30代後半以降に比べて高くなっているのが分かります。
肩こりについては、胸の張りに関連して起こるものと考えられ、胸の張りが肩こりの原因になっていると考えられます。生理前の胸の張り、胸の痛みなどの症状についての詳細については、こらのページをご覧下さい。
月経前、生理前のイライラは、全年代とも最も多いPMSの症状
イライラは全年代とも最も多く見られる月経前症候群(PMS)の主症状で、女性の半数以上が経験しているとみることができます。
出産経験の有無が、月経前症候群(PMS)の症状に影響を与える?!
月経前症候群(PMS)の典型的な症状はイライラ等の精神症状ですが、以前から臨床の現場では、出産後に月経前症候群(PMS)が発症し、出産経験がPMSを悪化させると考えられてきました。
データによると、経産婦(出産を経験した女性)には、イライラ、起こりやすくなる、攻撃的になる、アレルギー、健康管理ができない、家族への暴言など、精神的症状と社会的症状が高いという結果が得られました。
一方未産婦(出産を経験していない女性)に多くみられる月経前症候群(PMS)の症状には、胸の張り、胸の痛み、肩こり、頭痛、下腹部痛等があり、主に身体症状の発症が多くみられました。
データから、出産が月経前症候群(PMS)症状に何らかの影響を与えていると考えることができます。現在までのところ、出産が月経前症候群(PMS)全般にどのように関与しているかは、まだ明らかになっていませんが、出産が月経前症候群(PMS)の個々の症状の発症につながる原因として、次のように考えられています。
- 妊娠中は女性ホルモンのプロゲステロンが多く分泌されますが、出産後プロゲステロンの分泌が低下する女性に、月経前症候群(PMS)を発症するという説があります。
- また産後に月経前症候群(PMS)を発症する女性には、妊娠中に高血圧や浮腫を発症したり、産後うつにかかった経験があり、産後うつを経験した女性が月経前症候群(PMS)を発症する率は90%とであるといわれています。
- また妊娠を経験すると、月経前症候群(PMS)のイライラなどの精神症状が強くみられるという点については、出産がセロトニンの活性に変化を与えていることがあると考えられています。
- 下腹部痛の症状については、出産を経験した女性は、出産を経験していない女性に比べて低い結果が出ています。出産によりホルモンの作用や子宮頸管の状態が変化することによるものと考えられています。