月経前症候群(PMS)の症状は、身体症状から精神症状まで多岐にわたり、200~300の症状があるともいわれています。症状が生理前に限らず1ヶ月以上続く場合には、他の病気の可能性があります。月経前症候群(PMS)と間違えやすい病気には、うつ病、慢性疲労症候群、バセドウ病、橋本病などがあります。
うつ病~うつ症状が月経前に限らず、1ヶ月以上続く
うつ病の症状としては気分が落ち込む、食欲不振、疲労感、集中力の低下など精神症状の他に、頭痛、倦怠感、肩こり、胃痛といった身体症状がみられることもあります。
これらの症状は、月経前症候群(PMS)と共通していますが、うつ病はこれらの症状が月経周期に限らず2週間以上続くことが特徴です。またうつ病の症状が生理前、月経前になると女性ホルモンの影響で、普段より強く出る場合もあります。
1ヶ月のほとんどで症状を感じている場合は、女性ホルモンの影響による月経前症候群(PMS)ではなく、うつ病など心の病気が関わっている可能性が考えられます。
月経前症候群(PMS)の精神症状とうつ病の症状は似ている部分がありますがそれぞれを項目ごとに比較すると、次の表のようになります。
PMS | うつ病 | |
---|---|---|
気分 | 月経の前だけ悪い | 悪い状態が続いている。 または悪い状態は常にあり、 月経前に特にひどくなる |
食欲 | 亢(こう)進する | 低下する |
行動 | 低下する人も多いが、 中にはよく動く人もいる | 全体的に低下する |
睡眠 | 日中でもよく眠る | 眠れない。早朝に目が覚める |
性欲 | 人により亢(こう)進する | 低下する |
引用:PMS(月経前症候群)を治す77のワザ+α (これ効き!シリーズ)
慢性疲労症候群~強い疲労や微熱や頭痛などの症状が長期間続く
慢性疲労症候群は、20代から50代の働き盛りの世代に多くみられ、女性は男性に比べて倍の発症率となっています。主な症状としては、非常に強い疲労です。休息をとっても疲れが取れず、座っているだけでも強烈な疲労を感じたりするなどで、日常生活に破たんをきたすほどの激しい疲労感があります。
疲労の他の症状として、頭痛、思考力・集中力の低下などがあり、これらの症状は、月経前症候群(PMS)と共通しています。また月経前症候群(PMS)と共通しない症状に筋力低下や筋肉痛があります。
甲状腺機能冗進症(バセドウ病)~初期症状として、イライラや発汗等が見られる
バセドウ病は、20~30代の女性に多い病気で、月経前症候群(PMS)が多くなる年代と一致します。バセドウ病の典型的な症状は、甲状腺の腫れや頻脈ですが、こうした症状が出る前にイライラ、疲れやすい、汗が多くなるなどPMSと共通する症状が出やすくなります。
甲状腺機能低下症(橋本病)~40代・50代に多いが、20代・30代にも
橋本病は、バセドウ病とは逆に甲状腺の機能が低下する病気です。40代~50代の女性に多く発症しますが、20代から30代でもかかることがあります。月経前症候群(PMS)の症状と共通するものとしては、手足の冷え、むくみ、便秘等があります。
その他の月経前症候群(PMS)と似ている症状があり、間違いやすい病気
その他の月経前症候群(PMS)と似た症状があり、間違いやすい病気には、次のものがあります。
- 月経困難症
- 片頭痛
- 不安障害(パニック障害を含む)
- 周期性乳房痛
- けいれん性疾患
- 気管支喘息
- アレルギー
- 副腎機能異常
- 閉経への移行時期、更年期障害
これらの疾患は、生理前 月経前に症状が強く出ることがあります。生理前に限って症状出るのか、または普段から症状があって、生理前になると強まるのか見分けることがポイントになります。