月経前、生理前になると決まって、イライラしがちになったり、いつもより食欲が増したり、異常な眠気があったり、頭痛がしたり・・・でも生理が始まった途端、今までのつらい症状が嘘のようにスッと消えていく症状がありませんか?それは、月経前症候群(PMS)の症状かもしれません。女性の80%以上に症状が見られ、症状は200~300もあるといわれています。
生理前は、眠気が増したり、吐き気や頭痛が…。~月経前症候群(PMS)の【身体症状】とは?
月経前症候群(PMS)の体に現れる、身体症状には次のような症状があります。
- 眠気が強まる
- 吐き気
- 頭痛・片頭痛
- 過食・食欲が増す・とくに甘いものが食べたくなる
- 腹痛
- めまい
- むくみ
- 腰痛
- 不眠
- 肩こり
- 便秘
- 下痢
- ほてり・のぼせ・微熱
- 下腹部痛・下腹部の張り
- 乳房の張り・乳房の痛み
- 疲労感・疲れやすい・だるい
- 肌荒れ・湿疹
- 冷え症が悪化する
- 耳鳴り
- 関節痛
- 多汗
- にきびができやすい・脂性
- のどがかわく・のどの違和感
- おりものが増える
- 味覚が変化する・味の好みが変わる
- 体重増加
- 血圧や脈拍が高くなる
生理前は、無性にイライラしたり、落ち込んだり…。~月経前症候群(PMS)の【精神症状】とは?
イライラは、月経前症候群(PMS)のすべての症状の中でいちばん多い症状です。
イライラをはじめとする月経前症候群(PMS)の症状には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
- イライラする
- うつ(鬱)っぽくなる・ゆううつになる
- 気分の落ち込み
- 些細なことにも怒りやすくなる・ムキになりがちになる
- なんでも批判されていると思ってしまう・自分を全否定されたと思ってしまう
- 攻撃的になる
- 家族や友人・パートナーとケンカしやすくなる
- 子供にきつくあたってしまう
- 興奮しやすくなる
- 不満が一気に爆発しやすくなる
- 感情的になって、暴言・破壊的な言葉をはきやすくなる・口論しやすくなる
- 自分をコントロールできない感じがする・誰かに八つ当たりしたくなる
- 弱気になる
- 否定的・悲観的になる
- 排他的になって、極論に走りがちになる
- 破壊的な気持ちになって、物理的にものに当たったり、離婚したくなったり、仕事を辞めたくなったり、別れ話を切り出したりしてしまう
- 無気力になる
- 自信がなくなる・自己卑下・自己嫌悪・自己否定しがちになる
- 不安感が高まって、気分が暗くなりがちになる
- ちょっとしたことで、死にたいほど落ち込む
- 情緒不安定になる
- 涙もろくなる
- 集中力が低下する
- 判断力が低下する
- 能率が低下する・ボーっとしてしまう
- 記憶力が低下する
- 性欲が高まる
- 性欲がなくなる
- 衝動買いしがちになる
- 摂食障害(過食症・拒食症)になる
これらの精神症状が非常に強く、イライラが非常に強くコントロールが効かなくなり、仕事場や家庭での人間関係を傷つけてしまう場合や、気分の落ち込みが非常に強く自殺願望につながってしまう場合には、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性があります。
PMDDについての詳細は、こちらのページをご覧下さい。
月経前不快気分障害(PMDD)とは?
月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)の違い
月経前不快気分障害(PMDD)の症状とは?
生理前は、途端に仕事の能率が悪くなったり、家にひきこもりたくなったり…。~月経前症候群(PMS)の主な【社会的症状】とは?
月経前症候群(PMS)で、いつもは簡単にできることが難しくなったり、家にこもりたくなったり、社会的な症状がでる方もいます。
月経前症候群(PMS)の社会的症状には次のようなものがあります。
- いつもどおり仕事・家事ができない
- 無性に整理整頓がしたくなる
- 物事が面倒くさくなる
- 女性であることがいやになる
- 月経(生理)がいやになる
- 家に引きこもる
- 誰も理解してくれないと思う・ひとりぼっちだと感じる
- 一人でいたい
- 人付き合いが悪くなる
その症状は月経前症候群(PMS)によるもの?
これらの症状が、月経前症候群(PMS)のものかを見分けるには、病院で月経前症候群(PMS)の診断に使われている「産婦人科 診療ガイドライン-婦人科外来編」の診断基準が参考になります。
見分けるポイントは、次の3つです。
- 過去3ヶ月以上連続して、月経前5日間に1つ以上の症状があるか
- 症状が月経開始後4日以内に解消して、13日目までに再発しない
- 症状が薬の副作用やアルコールによるものでない
月経前症候群(PMS)と似た症状のある、他の病気
月経前症候群(PMS)と症状が似ていて間違いやすい病気には、うつ病、慢性疲労症候群、甲状腺機能冗進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症(橋本病)などがあります。
うつ病
うつ病の症状としては気分が落ち込む、食欲不振、疲労感、集中力の低下など精神症状の他に、頭痛、倦怠感、肩こり、胃痛といった身体症状がみられることもあります。これらの症状は、月経前症候群(PMS)と共通しています。
また、うつ病は30歳代からの発症が多く、月経前症候群(PMS)も30代に多く、「30歳代中期症候群」ともいわれています。
うつ病の症状は、月経周期に限らず2週間以上続くことが特徴です。またうつ病の場合、症状が月経前・生理前に普段より強く出る場合もあります。1ヶ月のほとんどで症状を感じている場合は、女性ホルモンの影響による月経前症候群(PMS)ではなく、うつ病など心の病気が関わっていることが多いと考えられます。
月経前症候群(PMS)とうつ病は見分けにくいですが、月経前症候群(PMS)とうつ病比較した下記の表が参考になります。
PMS | うつ病 | |
---|---|---|
気分 | 月経の前だけ悪い | 悪い状態が続いている。または悪い状態は常にあり、月経前に特にひどくなる |
食欲 | 亢(こう)進する | 低下する |
行動 | 低下する人も多いが、 中にはよく動く人もいる | 全体的に低下する |
睡眠 | 日中でもよく眠る | 眠れない。早朝に目が覚める |
性欲 | 人により亢(こう)進する | 低下する |
出典:PMS(月経前症候群)を治す77のワザ+α (これ効き!シリーズ)
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、20代から50代の働き盛りの世代に多くみられ、女性は男性に比べて倍の発症率となっています。症状としては、強い疲労があり、休息をとっても疲れが取れず、座っているだけでも強烈な疲労を感じたりするなどで、日常生活に破たんをきたすほどの激しい疲労感のある病気です。疲労の他の症状として、月経前症候群(PMS)と共通するものは、頭痛、思考力・集中力の低下などがありますが、月経前症候群(PMS)と共通しない症状に筋力低下や筋肉痛があります。
甲状腺機能冗進症(バセドウ病)
バセドウ病は、20~30代の女性に多い病気で、月経前症候群(PMS)が多くなる年代と一致します。バセドウ病の典型的な症状は、甲状腺の腫れや頻脈ですが、こうした症状が出る前にイライラ、疲れやすい、汗が多くなるなど月経前症候群(PMS)と共通する症状が出やすくなります。
甲状腺機能低下症(橋本病)
橋本病は、バセドウ病とは逆に甲状腺の機能が低下する病気です。40代~50代の女性に多く発症しますが、20代から30代でもかかることがあります。月経前症候群(PMS)の症状と共通するものとしては、手足の冷え、むくみ、便秘等があります。