生理前は食欲が異常に増して、過食気味に…。原因は、女性ホルモンのプロゲステロンの働きによるもの。また生理前は、血糖値が不安定になりがちになっているので、甘いものが無性に食べたい!止まらない!ということも。しかし糖分は血糖値を急激に上下させて、イライラがおこりやすくなるので、注意が必要です。
生理前、女性の体は普段の1~2割の栄養を必要としている
排卵から生理にかけて女性ホルモンの「プロゲステロン」が多く分泌されるようになります。このホルモンは、妊娠の準備をするために、体に栄養を貯め込む働きをもっています。
プロゲステロンが多く分泌されている間は、エネルギー、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど体を維持するための栄養素が普段の1割~2割多く必要になっています。生理前に食欲が増すというのは、自然な体の欲求といえるのです。
プロゲステロンには、妊娠の可能性に備えて、代謝を抑えて体に栄養を貯め込もうとする働きを持っています。そのため生理前はいつもより代謝が下がり、太りやすくなります。
ダイエット中の人やダイエットを気にする人にとって生理前は、いつもより食欲が増え、代謝が落ちるため、つらい時期といえます。この時期の体は普段の約10~20%多く栄養を欲していますし、無理に食欲を我慢すると、反動で過食に走ってしまったり、イライラしがちになります。この時期はダイエットはちょっとひとやすみしたり、ちょっと大目に見たりして、生理が終わってから、ダイエットを再開してみては?
生理前に甘いものが止まらないのは、血糖値が影響している
生理前は女性ホルモンが急激に変化し、それが血糖値の不安定を招いていると考えられています。血糖値が下がると、空腹を感じて血糖値を上げるために食べものが欲しくなります。
しかし血糖値が下がっている空腹な状態で、チョコレートや甘いお菓子などの血糖値を急激に上昇させる食べ物を取るのはおすすめできません。
糖分は血糖値を調整しているインシュリンの分泌を急激に増加させます。インシュリンは、急激に上がった血糖値を下げて今度は、血糖値の急激な低下がおこります。このような血糖値の急激な変動は、脳や体を混乱させて、イライラや攻撃的な気分を起こしやすくしてしまうので、注意が必要です。
生理前は、普段よりも血糖値が不安定になりがちになっています。空腹になりすぎることを防ぐために、朝食をきちんと摂ったり、おやつや軽食等を取り入れて、食事の回数を増やしてみるとよいでしょう。
またその際は、血糖値を上げやすい糖分を控えて、血糖値を急激に上げない食品やおやつを選びましょう。チョコレートやケーキなどに比べて血糖値を上げにくい、ドライフルーツや果物、ヨーグルトやゼリーなどがおすすめです。
PMS(月経前症候群)におすすめ!~バナナとヨーグルト
PMS(月経前症候群)で食欲が増して、過食に走ってしまう人におすすめのおやつに、バナナやヨーグルトがあります。
バナナには、気分を安定させる働きをもつ、脳内物質のセロトニンを作るために必要なすべての栄養素(炭水化物、必須アミノ酸のトリプトファン、ビタミンB6)が含まれています。イライラしがちで、過食に走りがちな生理前に、気持ちを安定させたり、落ち着かせる効果があります。
さらにバナナに含まれるカリウムには、体内の水分バランスを調整する働きと、体の老廃物を排泄する働きがあります。生理前のむくみが気になる人にもおすすめです。
またヨーグルトには、チョコレートやケーキなどに比べて血糖値の上昇が緩やかで、イライラを抑えて気分を安定させてくれる、カルシウムやビタミンB6が含まれています。イライラしたり、気持ちの変動が大きくなりがちな生理前にピッタリのおやつです。
ビタミンEは、生理前の食欲や過食に効果的!
ビタミンEは、生理前の食欲の増進を抑える効果があるといわれています。
1日あたり400IUの天然型ビタミンEとプラセボ(偽薬)を投与して比較したところ、ビタミンEを投与した女性において、PMS(月経前症候群)による食欲の増進を抑える効果と、精神症状の改善などにおいて高い効果が見られました。
さらに米国産科婦人科学会(ACOG, The American Congress of Obstetricians and Gynecologists)でも、ビタミンEはPMS(月経前症候群)の症状を軽減する可能性があるとしています。
ビタミンEを多く含む食品には、
魚卵(キャビア・いくら・たらこ・めんたいこ)
魚(あゆ・たい・うなぎ)
ナッツ類(アーモンド・松の実・らっかせい)
等があります。
ビタミンEを、サプリやサプリやサプリメントで摂取する場合は、吸収率の高い天然型ビタミンEがおすすめです。天然のビタミンEは、合成のビタミンに比べて吸収率が2倍高く、体内に吸収しやすいからです。
PMS(月経前症候群)の食欲の増加や過食に効果的なテアニン
生理前の異常な食欲や、甘いものが止まらない…とお悩みの方におすすめのサプリメントは、テアニン。テアニンは玉露や抹茶などに含まれる、うまみの主成分となるアミノ酸の一種。副交感神経の働きを優位にし脳波ではアルファー波を増加させ、リラクゼーション効果があります。
女性の肥満者32名を対象にした、代替食による食事療法でのテアニンの効果を検証した研究では、テアニンを併用したグループの方が、併用しなかったグループよりよりも効果があったという結果が出ています。
生理前になると、いつもよりも味が濃いもの、脂っこいものが食べたくなる…
排卵から生理にかけて分泌される女性ホルモンのプロゲステロンには、体の細胞が水分を貯め込みやすくする働きがあります。そのため生理前は、体がむくみやすくなります。舌の細胞も普段より水分を多く取り込んでむくんでいます。そのため、普段よりも味を感じにくく、濃い味つけを好むようになるといわれています。
脂っこいものが食べたくなるのもプロゲステロンの影響。体が妊娠に備えて栄養を貯め込もうとしようとしているとと考えられています。生理前の体は普段より1~2割の栄養を必要としています。いつもよりも少し多めに脂っこいものを取る分には問題ないと考えてよいでしょう。
ただ、プロゲステロンには皮脂の分泌を促す作用があります。そのため生理前にはニキビが増えやすくなるという人もいます。脂っこいものを摂りすぎるとニキビも出やすくなるので、摂りすぎには気を付けましょう。