PMS 月経前症候群の原因とは?なぜ生理前は不調に?

月経前症候群(PMS)の症状は200~300あるといわれています。実は、原因はまだはっきりとは解明されておらず、様々な要因が相互に密接に関与していてると考えられています。現在もっとも有力とされている2つの説と、その他の原因とは?

月経前の女性ホルモンの大きな変動により、自律神経が影響を受けている

月経前症候群(PMS)の原因として、現在最も有力と考えられている1つめの説は、2種類の女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの変動によるものです。

女性ホルモン

女性ホルモンの分泌や卵巣の機能が正常で健康な女性は、1ヶ月の間に2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が大きく変動しています。特に排卵後から月経までの黄体期とよばれる約2週間は、排卵前の卵胞期に比べて、2種類の女性ホルモンの量が大幅に増えます。

分泌が一定しているホルモンが多い中、女性ホルモンは1ヶ月という短いスパンで増えたり減ったりと、激しく変動するという特徴をもっためずらしいホルモンなのです。

視床下部

女性ホルモンを分泌するのは卵巣ですが、女性ホルモンに指令を出して、コントロールしているのは、脳の視床下部です。視床下部は、女性ホルモンをコントロールするだけでなく、自律神経や感情・食欲などもコントロールしています。

脳の視床下部は、ストレスなどの影響を受けやすく、ストレスにより女性ホルモンの指示系統乱れると、女性ホルモンをつくる卵巣の機能は正常でも、月経の周期が狂ったり、無月経になったりというトラブルが生じてしまいます。

つまり、女性ホルモンと自律神経は司令塔である視床下部を共有しているため、お互いに影響しやすいのです。女性ホルモンが1ヶ月という短い周期の中で大きく変動することで、視床下部からの自律神経への指示系統が影響を受けて、イライラしたり頭痛や腹痛などを引き起こしていると考えられています。

このように、月経前症候群(PMS)は、正常な女性ホルモンの分泌の変動によって起こっています。また女性ホルモンの分泌も、卵巣ホルモンも正常に行われているからこそ、月経前症候群(PMS)が起こるとも言えます。「PMS(月経前症候群)は病気ではない」、「生理、月経の前には女性ならだれでも心身の不調があらわれやすい。」と言われるのは、こういった理由によるのです。

女性ホルモンの変動が、セロトニンなどの神経伝達物質の活性に影響を与えている

ポイントを伝える女性

近年、うつ病などの治療に使われる、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が月経前症候群(PMS)の主に精神症状に効果があることが分かり、治療に使われるようになりました。月経前症候群(PMS)の原因として、神経伝達物質のセロトニンが関与しているのではないかと考えられるようになりました。

セロトニンは気分を安定させる働きがあり、不足するとイライラしたり、気分が落ち込んだりします。月経前、生理前にプロゲステロンが急激に減少することが、脳内のセロトニンを混乱させて、分泌が低下させるのではないかと考えられています。

その他の月経前症候群(PMS)の原因と考えられているもの

上記の現在有力と考えられている説の他に、次の説が月経前症候群(PMS)の原因と考えられています。

  • 性格説
  • 心因説
  • エストロゲン過剰説
  • プロゲステロン不足説
  • E/P比高値説
  • オピオイドペプチド消退説
  • ビタミン欠乏説
  • プロスタグランジン分泌異常説
  • プロラクチン分泌異常説
  • 骨盤内鬱血説

参考:日産婦誌58巻4号, 2006年4月

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