生理前に吐き気を感じる女性は多いです。頭痛を伴う場合もあります。生理前の女性ホルモンの急激な変動による自律神経の乱れや、セロトニン、プロスタグランディンによる影響が原因と考えられています。
生理前に急激に変動する女性ホルモンによる自律神経のバランスが乱れが、吐き気につながる
女性ホルモンは、約1ヶ月の間に変動していますが、特に生理前は変動の幅が大きくなります。生理前の女性ホルモンの急激な変化は、自律神経に大きな影響を与えます。自律神経のリズムやバランスが崩れると、体と心に様々な影響が起こり、そのため様々な生理前の不調である、PMS(月経前症候群)の様々な症状を引き起こすと考えられています。生理前の吐き気もその1つです。
自律神経は交感神経と副交感神経からなっています。1日のうち活動的な日中は交感神経が優位になり、体を休める夜間には副交感神経が優位に働くようなリズムになっています。
自律神経は女性ホルモンやストレスなどの影響を非常に受けやすく、自律神経のリズムが崩れると、体に様々な不調が起こりやすくなります。吐き気も自律神経のバランスが崩れることでおこる症状のひとつ。吐き気に加えて、めまいや頭痛を伴うこともあります。
生理前は日常生活でのストレスに加えて、体内で女性ホルモンの急激な変動があるため普段より自律神経に負担がかかりやすい状態になっています。そのため、いつもより自律神経のバランスが崩れやすく、吐き気がおこりやすくなります。
生理前は、意識してスケジュールを調整したり、普段より体と心をリラックスする時間を持つように工夫しましょう。自律神経への負担を減らすことが、吐き気の予防になります。
頭痛に伴って吐き気がおこる場合
生理前に頭痛に伴って吐き気の症状がでる場合があります。吐き気を伴う頭痛は、「セロトニン」が関与するタイプの頭痛(偏頭痛)です。このタイプの頭痛は、吐き気や腹痛を伴うという特徴があります。
セロトニンは神経伝達物質で、血小板と小腸に多く存在し、腸のぜん動運動にも深く関与しています。腸内のセロトニンが過剰に分泌されると、腸の激しい収縮と弛緩により、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などがおこりやすくなります。
血液中のセロトニンが急激に上昇すると、今度は脳で変化が起こります。脳の血管が異常に収縮して閃輝暗点(せんきあんてん)と言われるキラキラした光が見えることがあります。そしてセロトニンが減少すると、今度は血管が拡張して頭痛がおこります。
また脳の三叉神経から頭痛の元となる痛み物質が放出される際に、脳幹部にある吐き気の中枢神経を刺激することがあります。そのため頭痛(偏頭痛)が起こる時に、吐き気が起こるといわれています。
近年生理前に起こる女性ホルモンの急激な変化が、セロトニンの活性や分泌異常を引き起こすことがわかってきていて、生理前や排卵日付近には頭痛に伴った吐き気が起こりやすくなることが明らかになっています。
生理前や排卵日付近におこる頭痛についての詳細は、こちらのページをご覧ください。
プロスタグランディンが、吐き気をひきおこす
プロスタグランディンは、生理直前から生理にかけて分泌が増えます。プロスタグランディンには胃腸の蠕動を促す働きがあり、吐き気や胃の痛み、下痢を引き起こすと考えられています。
吐き気に効果があるビタミンB6
生理前の吐き気には、ビタミンB6がおすすめ。つわりのための処方薬にもビタミンB6が含まれています。
ビタミンB群は単体で摂取するよりも、ビタミンB群に含まれる8種類のビタミンが互いに協調して働き、相乗効果で効果が高まります。ビタミンB6を単体で摂取するのではなく、ビタミンB複合体として摂取しましょう。
PMS(月経前症候群)とビタミンB6についての詳細は、こちらのページをご覧下さい。